Data Hunter

データ復旧の専門ラボ

業界誌「ADJUSTER」に掲載されました!

業界誌「ADJUSTER」に掲載されました!

以下、パソコン整備士協会の了承を得た上で全文を掲載します。記事中で「ルキテック」「橘」とあるのが、データハンターです。データハンターは、ルキテックのパソコン修理事業からスピンアウトする形で立ち上げた新部門です。


 

パソコン修理・データ復旧業界の技術巧者が語る。本音座談会・前半。

道具は「なければ作れ」。
データ復旧には「神が降りる!?

下田商会/ルキテック(※注・データハンター)/PCレスキュー/株式会社データサルベージ

座談会に集まっていただいたのは、パソコン修理やデータ復旧会社を経営する4人の社長。業界内では「知る人ぞ知る強者」、そして相当の「マニア」揃いだ。みなさんには、修理用の必携ツールや苦労話、なかなか聞けない業界の裏話などを本音で語っていただいた。まずは、みなさんの独立までの経緯からうかがった。

四者四様。紆余曲折し、独立

下田(下田商会)うちは創業15年目で、この中では一番古いのかな。元は海上自衛隊の衛生隊員でした。そのころからコンピュータはさわっていましたね。当時、退官したら土木系の道で生きていこうと考えていたんです。でも景気の悪化もありこの業界へ。ネットワーク構築のエンジニアなどをしながら、保守部品交換に頼らない修理や、基板の修理を早い段階から取り入れていました。当時はまだ、やっているところが少なかった。

橘(データハンター)私はこの仕事に就き9年になりますが、以前は電気工事を手伝っていました。しかしやはり景気が悪く、パソコンサポートの道へ。もともとパソコンの専門学校出身で、パソコン大好き少年でしたから。当時は地道にビラまきから始めました。しかし、サポート業はとにかく時間に追われる。これでは逆にお客さんに迷惑がかかると思い、修理にシフトした経緯があります。

監物(PCレスキュー)私は大学卒業時、工学部の技術職員が内定していました。でも、趣味のオーディオやアマチュア無線の仕事に就きたくて、それを断ってオーディオ・無線関連のメーカーに入社。そこから別会社に転籍になり、光学ドライブなどの開発を担当しました。しかし徐々に景気が悪くなり独立することにしたんです。

阿部(株式会社データサルベージ)私は15年ほど前、学生ベンチャーでパソコン修理サポートをしていたのですが、あるとき、お客さんのハードディスクを壊してしまった。首をくくる覚悟もしたのですが、偶然にもそれを直す方法を見つけ、こうした需要はほかにもあるかもしれない!と、データ復旧を始めたんです。それ以来、ずっとデータ復旧ですね。

修理は「道具」が命。なければ、作れ!

下田ところで、この商売にとって「道具」は命ですよね。僕の中では、この時計の裏蓋はずし、通称「こじあけくん」がとても大事。みなさんはどうですか?これはパソコンの分解もよく分からなかった時代、友人から教えてもらったもの。秋葉原の路地裏で店のおじさんも絶賛していた(笑)。当時1500円くらいで買ったかな。今もホームセンターで取り寄せています。

阿部メーカーにいたとき、ヒートガンを使っていましたがいいですよ。ちょっとあぶると糊も全部溶け、シールがきれいにはがれる。でもどこから「いけるのか」見極めるのは大切ですね。

監物コーキングヘラやテレホンカードなんかも、隙間に重宝しますよね。

うちは、ポイントカードを使ってます(笑)。でも、最近のN社液晶なんかは、咬み込みになっていたりして開かないですねぇ。

下田それに液晶はすごく薄くなったから、ウルトラブック系などはだめだね。

デジタイザーの付いた液晶一体型はけっこう依頼が来ますがダメですね。部品が入手できず断ります。

監物うちも断りますね。最近は部品(の提供)がなくなるのも早い。3年とか、ひどいと1年とか。

下田パソコン修理屋にとって、三種の神器のひとつといえばまずは「これdo台」だね。これは稼ぎ頭!

一同:そうそう!!

はんだごても必需品。これが使いこなせるかどうかで、仕事は大きく違ってくる。

下田確かにね!はんだごては使えないと。温度管理機能が付いたステーション型のはんだごては、便利でいいですよ。

監物テスターも重要ですねぇ。

下田ぼくはアナログ派だけど。

阿部私はデジタルもアナログも両方。

道具の中には100均のものもあったりしますよ。このピンセットも100均。ビスが奥のほうにあるときは、ピンセットでドライバーの頭をおさえながら回すとうまくいくんです。

監物その長いピンセットいいですね。iMacの分解では、ビスがガラスパネルを固定する磁石についてしまうので、使いやすそうです。

下田初期のMacProとか、CPUヒートシンクを外すのに長い六角レンチじゃないとだめなものも多いよね。僕は長いドライバーと六角レンチを自分でガス溶接して長くしています。

溶接ですか、すごいですね。うちはガムテープで延長して(笑)。

監物ちょうど良い道具が探して見つからないなら、「作れ」が基本ですね。

焦った記憶が技になる

監物最近ではiPhone、iPadの問い合わせが多いと思いますが、修理などは受けられていますか。うちは儲からないからやらない(笑)。

下田ビスなんて極細だし、やってみると本当に大変。ガラス交換は1万5千円でやっても割に合わないと思う。

監物人件費がかかり過ぎますよね。

下田手間がかかる製品といえばレッツノートあたり。一回、心の準備をしないとできない(笑)。

開業当時、まだよくわかっていない頃にレッツノートのパーツ交換が来て焦ったことがありますね(笑)。本当にこれを元に戻せるのかと・・・。

監物やはりデザインがおしゃれな製品は手こずりますね。あとは、軽さなんかを徹底的に追求したもの。

そういうのはネジが1本ずつ全て違ったりしますから。ネジを使わず、両面テープでとめてあったりね。あとはMacBook。でもそういう経験を経て、いろんな技術を覚えていく。

下田時代ごとに苦労はあるけれど、10年くらい前までのパソコンでいえば基板が積層だったから、たどりつくまでが大変だった。3重・4重になっていて、順にめくってやっとハードディスクにたどりつく。

たしかに。S社のオーディオ一体型パソコン、あれも大変だったなぁ。

阿部パソコンを好きな方の中には、昔の製品でもずっと動く状態でとっておきたいっていう方も多いので大変ですよね。

下田NEC PC-98ノートなんかもボトムケースのプラスチックが変化していて、分解するとバラバラに砕けて元に戻せなくなってしまう。内蔵電池とかコンデンサーが弱いですね。でも、「パソコンの修理やデータの復旧の方法ってどうやって覚えるんですか」なんてよく聞かれますが、突然神様が降りてくるときってありますよね(笑)。

阿部あります、あります。本気で稼ぎたいと思うと降りてくる(笑)!

監物家に帰る途中、車の中で「ピン」とひらめくと、作業場に戻ったり。

それ、ありますねぇ。戻らずにはいられない!

下田もちろん、そのために普段から人がやらない特殊なものに挑戦したり、見よう見まねでやってみたりしているけど、ひらめく瞬間ってあるんですよね。

監物ところでみなさん、価格設定とかはどうされていますか?データ復旧は、お客さんによって価値観や価格の受けとめ方も違う。そのあたりも少し聞きたいですね。

――次回の後半では修理やデータ復旧の価格設定方法や、この業界で本当に儲けることができるのか、また株式会社データサルベージが開発したソフトウェア・デュプリケータ「MASAMUNE」についてなどを語っていただきます。